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別冊・詩と小説で描く「愛の世界」

女同士の淫楽。其の一

◇忘れ得ぬ人◇
女同士の淫楽1-1
今でも私は、街で彼女に似た女性を見かけると、全身がカッと燃えるように熱くなり、
体内の血液が二倍にも増えてしまったかのような激しい脈動を覚えます。

其の彼女-明石泉さんとは、20年前に出会いました。
私が37歳、泉さんが38歳の時でした。
何処にでも有る様な、ごくありふれた同年代の人妻の出会い方でした。

当時、私たち夫婦は文京区の賃貸マンションに住んでいて、
8歳の一人娘は小学校二年生で、近所の区立小学校に通っていました。
私たち夫婦は、其の時が結婚十年目でした。見合い結婚の夫は商社マンで、
エリートの部類に入るらしく、給料もそれなりに良く、将来にも明るい見通しがありました。

ただ、バブル期のエリートサラリーマン家庭のご多分にもれず、
我が夫も毎日残業や接待で帰宅が遅く、休日も仕事がらみの外出が多く、
我が家は母子家庭同然の状態ではありました。
不在がちの夫に対して、私が妻として不満を抱いていなかったと言えば嘘に成ります。

8歳の娘は明るい性格でおしゃまさんでしたが、所詮は子供で、
私の本当の話し相手には成ってくれませんでした。高校や短大の頃の友達とは、
何となく距離が出来てきてしまっていましたし、引っ越してまだ二年弱のマンションの周囲には、
友人と呼べるほどの知り合いはいませんでした。

パートで働きにでも出ようか。お金のためでなく、友人を作るために・・・
そんなことを考え始めた時でした。明石泉さんと出会ったのは。

四月のある日、私は娘の小学校のクラスの保護者会に出席しました。
二年生に進級し、組替えして始めての保護者会でした。
明石泉さんとは、その席で初めて会いました。


女同士の淫楽1-2
偶々席が隣り合わせになり、泉さんに、
「よろしくね」
と、にこやかに、ほどよく親しげに声を掛けられたのが知り合うキッカケに成りました。

泉さんの処は男の子で、一年生の時にはうちの娘と違うクラスだったので、
私達はそのときまでお互いの存在を知らずに居ました。少なくとも私にとっては、
それが“忘れ得ぬ人”泉さんとの初対面でした。

相性がよほど良かったのでしょうか。それとも、やや内向的な性格の私を、
泉さんが積極的に巧みにリードしてくれたおかげでしょうか、私たち二人は、
すぐに仲良しになりました。

泉さんは、付き合ってみると趣味の広い、楽しい人でした。
フラワーアレンジメントはプロ級だし、テニスや水泳も巧く、お料理も上手でした。
そして、それに増して私を楽しませてくれた彼女の趣味が、映画鑑賞でした。

大学時代、映画研究会に入っていたと言う泉さんは、映画、とりわけ、洋画に詳しくて、
泉さんの家に遊びに行くと、きまって彼女の沢山有るコレクションの中から、
お薦めのビデオを一本選び、私に解説まじりに観せてくれるのです。

グレタ・ガルボの「椿姫」、サイレントの名作「イントランス」、チャップリやキートンの喜劇、
そして比較的新しい「ゴットファーザー」や「エクソシスト」など、ジャンルを問わず、
彼女は私に楽しい説明付きで観せてくれました。

ふた月ばかり、そう言う楽しい日々が続きました。
泉さんと私の友情は、益々強いものになり、PTAの母親同士というワクを遥かに超えて、
長年の親友同士のような関係に、何時しか成っていきました。

私は、今まで実家の両親にも話さなかった、夫への不満や、自分の肉体的な不安まで、
泉さんに相談するようになりました。夫が留守勝ちであることの不満のほかに、私には、
実は他人には話しにくい肉体的な悩みが、その時はありました。思い切って、
カラダの悩みを彼女に相談したあの日のことを、私は一生忘れることはできません。
女同士の淫楽1-3
あの時も、何時ものように、彼女は自分のコレクションの中からビデオの一本を選び出し、
それを持って、大型テレビの前で正座して待っている私の傍へ遣って来ました。
何時もと一つだけ違っていたのは、彼女が持って来たそのビデオのタイトルを、
直ぐに私に見せて呉れなかった事でした。何時もなら、私の傍に来るや否や、
「これ、これ、すごい映画よ。構図がいいのよ、ハンパじゃなく」とか、
学生のようにはずんで言いながら、ビデオのケースを見せてくれるのです。

ところが、その時はそうではありませんでした。ビデオケースを、なんとなく隠すような
仕種をしながら、泉さんは、心なしか少し息を弾ませて、私のそばに座りました。
「今日の映画は、どういうの?」
何時に無くもったぶった泉さんの様子から、私はいつも以上にビデオのタイトルに
興味を覚えて、そう訊きました。

「今日のはね、ちょっと何時ものと違う感じ。取って置きの作品よ」
泉さんはそう言って、私の目からビデオケースをますます隠すようにしました。
そして、私の耳に顔を寄せて、囁くように言いました。

「ビデオを観るまえに、あのこと、話して」
「あのことって・・・?」
「ほら、一昨日、言いかけて止めたじゃないの?カラダのことで、悩んでるっていう話」
「あ、ああ・・・あのこと・・・」
「言いかけて止めちゃうと、ストレス溜まるわよ。話してみて、私に。ね!」
「ええ・・・」

夫への不満でもなんでも泉さんに話すようになっていた私も、
流石にそれには躊躇いが有りました。私にとっては、人に相談するには余りにも
恥ずかしい肉体の・・・正確に言えば性器の悩みでした。

「大丈夫。誰にも言わない。私たち二人だけの秘密にするから。話して。ね!
 なにかアドバイスして上げられるかも知れないわ」

躊躇いを払いきれない私の肩を、泉さんはギュツと掴みました。
「実は・・・」
と、私は思わず口を開きました。
「・・・私、夫とセックスしても、あんまり感じないみたいなの・・・
 よく言うでしょ?絶頂感て・・・。あれが、私には無いみたい・・・」
とうとう悩みを告白しました。
  1. 2012/10/19(金) 07:06:52|
  2. 同性愛(レズ)
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